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2005年
11月の相談者
ユメマルコさん
東京都瑞穂町
夫との自営業のかたわら、15年前のバブル崩壊前に2件の不動産を買ってしまい(1つは居住用、1つは投資用)、結局投資用は、自営の事務所で使うことにし、20年のローンを9年で完済しました。残るは自宅のローンと3人の男児(1人は独立、あとの2人の教育費)。また、夫は退職金は望めず、更に自営の会社に1千万貸しています。これは、精算できるか不安。また、老後の生活費も考えるとパニック状態。できる所からこつこつとやっていきたいです。アドバイス願います。
■家族構成
・夫 56歳 会社経営 年収約588万(総支給額)
・妻(本人) 46歳 事務 年収約96万(総支給額)
・長男 23歳(自活) ・次男 21歳(大2、寮生活) ・三男 15歳(高1)

■家計簿データ

毎月 年間 合計 メモ
収入 夫給与 490,000 0 5,880,000
妻給与 80,000 0 960,000
家賃収入 160,000 0 1,920,000
合計 730,000 0 8,760,000
控除 所得・住民税 19,000 0 228,000
固定資産税 0 85,000 85,000
国民年金 0 320,140 320,140
国民年金基金 49,720 0 596,640
国民健康保険 0 270,000 270,000
合計 68,720 675,140 1,499,780
支出 食費 56,000 0 672,000
住居ローン 98,612 0 1,183,344
光熱費 15,750 0 189,000
電話代 25,398 0 304,776 携帯含む
保険料 12,040 0 144,480
教育費 43,400 535,800 1,056,600 月:高校、年:大学
娯楽・レジャー費 6,000 0 72,000
被服費 10,000 0 120,000
交際費 4,000 60,000 108,000
車費(ガソリン) 9,500 110,000 224,000
夫婦こづかい 45,000 0 540,000
医療費 4,500 0 54,000
大学生仕送り 30,000 0 360,000
通学定期券 9,800 0 117,600
合計 370,000 705,800 5,145,800
貯蓄 夫名義 26,000 0 312,000
妻名義 110,000 0 1,320,000
三男名義 35,000 0 420,000
合計 171,000 0 2,052,000
収支 120,280 -1,380,940 62,420

現在の金融資産残高    約1500万円    

■貯蓄の内容
名義種類目的金額
普通預金引越し用820,000
普通預金引越し用820,000
定期預金
1,270,000
三男定期預金学資保険満期金1,500,000
三男積立学資用960,000
貸付金夫の会社へ10,000,000
合計15,370,000

■保険の内容
被保険者 種類 死亡保障 入院保障 保険料
普通 ガン
共済 600万円 2,250円 2,250円 2,700円
ガン保険 30万円
30,000円 7,740円
合計 630万円 2,250円 32,250円 10,440円
共済 50万円 6,000円 6,000円 1,600円
ガン保険 20万円
20,000円 -
合計 70万円 6,000円 26,000円 1,600円
ご家族の合計 12,040円

●●ユメマルコさんへのアドバイス●●
FPさんユメマルコさん、こんにちは。高校生と大学生の息子さんお二人は、まさに今が学び盛り伸び盛り、最もお金がかかる時期ですね。しかし、それもあと数年です。あまりご自身を追い詰められる必要はないと思います。では、見ていきましょう。
(1)家計全般について
学校教育費・仕送り・通学費の合計が年間約150万円にも上る中、年間約200万円もの資金を貯蓄に回していらっしゃるのはお見事です。ご本人は「パニック状態」とおっしゃいますが、いえいえ、そんなに悲観することはないと思いますよ。

なのに、ユメマルコさんのように堅実な方がそんなにご心配になられるのは、「流れが見えていないから」だと思われます。将来の資金の流れが見え易くなるように、キャッシュフロー表を作成してみましたのでご覧下さい。


キャッシュフロー表の作成条件
預貯金やローンの残高は、年度(3月)末時点の金額としました。
夫さんは65歳のときに引退することを前提に、それまでの収入は変わらないものとしました。
現在、事務所として会社に貸し付けている不動産からの収入については、夫さんの引退後はテナントが入居し、継続して同額の家賃収入が見込めるものとしました。
ご夫婦とも、国民年金の満額支給が受けられるものとしました。
お子さんの教育・扶養期間は4年制大学卒業までとし、費用は現状と同等の金額としました。
三男さん名義の積立は、大学入学前まで続けるものとしました。
ご夫婦名義の積立は、夫さんの引退まで続けるものとしました。
三男さん独立後のご夫婦2人の食費は、月間4万円としました。
その他の支出は、今後も現状を維持し続けるものとしました。

この表で見ると、収支が赤字になるのは、お仕事を引退されて年金のみで生活すると仮定した9年後ですね。しかし、この時点での住宅ローンの残高は、558.4万円にまで減っています。これに対して、預貯金残高は2833.7万円。ここで残債を精算してしまえば、毎年の収支を一気に改善、あまり蓄えを取り崩さずに生活していくことは十分可能ですね。

いかがですか?少しは安心していただけましたか?

ただ、キャッシュフロー表はあくまで現状を知るための参考資料であり、このままではただの『絵に描いた餅』です。どこかの条件がちょっと変わるだけで、状況が大きく変化する可能性は十分にありますので、同じ変化するなら少しでも良くなるように、また、もしうまくいかないことが起こっても何とか切り抜けられるように、対策を進めておくことが最も重要なことですね。
(2)貯蓄について
年間約200万円の積立の他に、約60万円の国民年金基金の掛金もあります。積立額は申し分ないと思うのですが、せっかくこれだけの額を積み立てるのでしたら、もう一工夫したいところです。

1つの方法として、ご夫婦名義で積み立てられている預金の一部を、『小規模企業共済』に回されてはいかがでしょうか。これは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業経営者向けの退職金共済制度です。

月々1,000円から70,000円までの任意の額を積み立てることができますが、掛金は所得税の計算において全額「小規模企業共済等掛金控除」として課税所得から控除できるのが魅力です。しかし、短期での中途解約は元本割れが起こるなど注意すべき点もありますので、検討の際にしっかり内容の説明を受けて下さい。お近くの銀行等の窓口で手続きいただけます。
(3)保険について
「保険に入るより貯蓄した方がまし」というお考えだそうですが、万が一のことを考えるととても不安です。ユメマルコさんのような国民年金世帯は、万一の場合の遺族年金も非常に少なく、もしも今すぐ夫さんが・・・なんてことになった場合は、三男さんが高校を卒業なさるまでのあと2年強、年間約100万円の遺族基礎年金が受けられるのみです。その上、ユメマルコさんご自身のご収入も、設計事務所を経営なさる夫さんがあってこそ。もしものときは、同時に途絶えてしまうことを考えると、ある程度の死亡保険金は用意しておきたいものです。

個人で保険に加入する以外に、「会社で生命保険に加入して、万一の場合は死亡退職金を会社から受け取る」という方法もあります。『長期定期保険』や『逓増定期保険』など、保険料を経費で落としながらお金が貯められる保険もありますので、これらを上手に利用して、もしものための備えを準備しつつ、退職金の支払い財源を確保する"一石二鳥"を狙ってみられてはいかがでしょうか。会社に財源が確保できれば、ご心配になられている貸付金の回収も可能になってくると思います。

また、ちょっと気になったのは、会社が契約者及び受取人となっているガン保険の存在です。医療系の保険で給付金を受け取る場合、通常は個人が受け取る給付金は非課税の扱いです。しかし、受取人が会社となると、帳簿上「営業外利益」の扱いとなり法人税の課税対象となってしまいます。さらに、そのお金が会社から個人に支払われると、社会通念上"お見舞い金"と認められる額以上は、個人への給与支払いとみなされて所得税の課税対象となります。このような二重課税が発生してしまうと、本来の医療費等に備える保険の機能が十分に発揮できなくなってしまいますので、こうした保険は個人契約に名義変更なさることをお勧めします。
(4)教育資金について
三男さんの進路次第で、必要となる支出が大幅に変動する可能性が高いですね。しかし、今の調子でいくと、高校卒業までの2年ちょっとで、学資残高が約350万円になる計算です。あまり心配しすぎずに、「これだけあれば何とかなるさ」でもいいのではないでしょうか。万一不足するようでしたら、奨学金を受けたりアルバイトをしたりと、ご本人にも協力してもらう方法もありますので。
(5)老後資金について
公的年金の不足額を預貯金だけで賄おうとすると、とても不安になられると思いますが、幸いにも収入を生む賃貸用の不動産をお持ちです。せっかく"金のガチョウ"をお持ちなのですから、いかに長く"卵"を生み続ける"健康なガチョウ"でいつづけさせるのか、しっかり考えていくことが大切だと思います。こういったプラスαの収入を「ないものと思ってあてにせずに・・・」とおっしゃる方もいらっしゃいますね。それも、気持ちを引き締めるという面では重要な考え方かもしれませんが、逆に「大切な収入源である」ということをしっかり認識してこそ、メンテナンスや今後の戦略立てなどに心を尽くせるのではないかと私は思います。

また、「いつまでお仕事を続けられるのか」ということも非常に重要な軸になりますので、この機会に、今一度ライフプランを見つめ直してみて下さい。
♪ 最後に ♪
ユメマルコさんがこれまでに着々と培ってこられたことは、不安になられるどころか、堂々と胸を張って自信をお持ちになられていいと思います。楽しくお過ごし下さいますことをお祈りしています。

コメント作成:ファイナンシャルプランナー 佐藤名ゝ美
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