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2007年
12月の相談者
匿名希望さん
東京都中野区
夫が平日23時頃まで仕事をしているので、妻の私が家事をやるために仕事を退職して専業主婦になりました。ところが、途端に家計が苦しくなり、貯金や実家への仕送りがままならない状態になりました。。5年後には独立できるように、1000万円を貯金する目標がありますが、家計のどの部分を見直す事で近づく事ができるのか、相談させて頂ければと思います。

■家族構成
・夫 35歳 会社役員年収約1064万(総支給額)
・妻(本人) 28歳 主婦

■家計簿データ

毎月 年間 合計 メモ
収入 夫給与 886,530 0 10,638,360
合計 886,530 0 10,638,360
控除 所得税 81,780 -250,000 731,360 年間:住宅ローン控除還付分
住民税 44,600 0 535,200
厚生年金保険料 46,488 0 557,856
健康保険料 36,080 0 432,960
合計 208,948 -250,000 2,257,376
支出 食費 45,000 0 540,000
住宅ローン返済 163,340 0 1,960,080
住居費 19,530 18,000 252,360 月々:管理費等 年:固定資産税
水道光熱費 13,000 0 156,000
通信費 22,500 0 270,000
生命保険料 19,706 0 236,472
自動車保険料 5,590 0 67,080
娯楽・レジャー費 40,000 0 480,000
被服費 30,000 0 360,000
交際費 100,000 0 1,200,000
車ローン返済 54,000 0 648,000 2012年9月まで
車費 46,000 0 552,000 うち駐車料金:3.2万円
こづかい 85,000 0 1,020,000 夫:7万円、妻:1.5万円
医療・美容費 20,000 0 240,000
その他 10,000 0 120,000 インターネット、新聞代、交通費など
合計 673,666 18,000 8,101,992
差引収支 3,916 232,000 278,992


      現在の金融資産残高   約1,110万円

■貯蓄の内容
名義目的金額
貯蓄預金300,000
株式9,000,000
貯蓄預金300,000
投資信託1,500,000
合計11,100,000

■保険の内容
被保険者 保険種類 保険期間 死亡保障
(万円)
入院保障
(万円)
月払保険料
(円)
終身保険終身 3005,0007,901
特定疾病保障保険5年 50001,805
個人年金保険60歳払込 010,000
合計 19,706


●●匿名希望さんへのアドバイス●●
FPさんこんにちは、匿名希望さん。共働きから専業主婦になられたご家庭で「家計が急に苦しくなった」という声は非常によく聞きます。しかし私は、匿名希望さんの家計に秘められた"もの凄いパワー"を感じています。この潜在的なパワーを今後の生活や夢実現のために活かすためにはどうすれば良いのでしょうか。では、見ていきましょう。
(1)収入について
二馬力から一馬力になってしまったとは言っても、夫の年収は1,000万円を超えており、十分に"高額所得"と言っていい世帯だと思います。ただ、収入が増えると、その分所得税や住民税、社会保険料なども増えていくのが日本の仕組み。出て行く金額もなかなか大きなものですよね。
何か良い節税法はないかしら? と考えてみた場合、候補として挙げられるのは"個人型の確定拠出年金"くらいでしょうか。これは、月々一定の金額を積み立て、その資金を老後の生活資金作りの一環として投資信託や変額年金などの金融商品で運用する制度で、その掛金は、所得税・住民税の計算において全額が所得控除の対象となります。
ただし、厚生年金に加入者については、
  @ 会社に、厚生年金基金・適格退職年金・確定給付企業年金といった企業年金制度があり、
    その加入対象となっている
  A 会社に、企業型の確定拠出年金制度があり、その加入対象となっている
のいずれかに該当する場合は加入できません。

では仮に、"個人型の確定拠出年金"に加入できるとした場合、匿名希望さん世帯にとってどのくらいの節税効果となるのでしょうか。
厚生年金加入者の場合、個人型の確定拠出年金に掛金として拠出できる金額の限度は、年間21.6万円(月々1.8万円)です。限度額いっぱいに積み立てるとすると、所得税の税率が20%(夫の年収より)、住民税の税率が10%(一律)ですから、実際に軽減される税額は合わせて掛金(=所得控除額)の30%ということで、年間64,800円となる計算です。
ちなみに、自営業者など国民年金第1号被保険者の場合、加入限度額は年間81.6万円(月々6.8万円)となります。

ただし、この制度によって積み立てた資金の受け取りを開始できるのは、原則として60〜70歳までの間です。また、運用には手数料が必要なこと、価格変動のリスクがあることなど、注意しておかなければならない点もたくさんありますので、目先の節税効果だけでなく、制度そのものの仕組みをしっかり理解して活用する必要があります。また、そもそも積み立てに回せる資金がなければ始まらない話ですので、いかに収支のバランスをとり、資金を捻出していくかが重要となりますね。
(2)支出について
家計支出の内訳をグラフにまとめてみました。

【 家計支出の内訳 】

いかがでしょうか? 家計支出の目的は、大きく
  ・ 必要なもの・・・生活するために最低限なくてはならないもの
  ・ 欲しいもの・・・生活をより充実させるために求めるもの
の2つに分けることができます。
グラフを見てわかる通り、ご一家の場合、いわゆる「衣・食・住」にあたる「住居費」「食費」「被服費」「保険料」「通信費」「医療・美容費」「光熱費」「その他」の合計と、それ以外の「交際費」「車費」「こづかい」「娯楽・レジャー費」の合計がおおよそ半々となっており、『欲しいもの』に対する割合が一般的に見て高い方であるように感じました。

もちろん、車費や交際費などについて、必要な出費である部分が含まれていることも承知していますが、どちらかと言えばこれらに充てられている金額は大きい方。一般的な金額との差額(漠然としていますが)部分は『欲しいもの』にあたると思います。
でも、どうか誤解しないで下さいね。決して『欲しいもの』のためにお金を使うのが悪いと言っている訳ではありません。頑張って稼いだお金で生活をより豊かにするのも必要なこと。私が言いたいのは、節約を試みるならばこの範疇からになりそうだということです。

まず、交際費については、どうやら夫の仕事とも関係がありそうですね。この中に
「本当は会社の経費なのだけれど、経理処理が面倒で自腹を切っている」
なんていうものは含まれていないのでしょうか。昔から、「ちりも積もれば…」と言います。万が一含まれているようでしたら、きちんと精算してもらうようにしましょう。
また、この交際費以外に、夫のこづかいが月々7万円あります。交際費の大半を夫が使っていると仮定すると、月々17万円程が夫の裁量で支出されていることに。ちなみにこれは短大卒初任給くらいの金額です。さらに、ここに娯楽・レジャー費が加わると月々21万円に。こうなると大学院卒の初任給を少し下回る程度です。
ここはどうしても、夫に協力してもらう必要がありそうですね。こんなときにお勧めなのが『こづかいアップ大作戦』です。

方法は・・・
  @ まず、今まで「こづかい」として出していた金額を増やします。例えば、
     夫こづかい:7万円→17万円 などとします
  A その代わりに、それでまかなってもらうものの範囲を広げてください。
     今まで「交際費」「娯楽・レジャー費」として別枠で支出していたものも「こづかい」から出して
     もらうようにします。
すると・・・
今までは、「こづかい」「交際費」「娯楽・レジャー費」の合計で21万円使っていたところを、17万円に抑える(4万円の節約)ことができます。

とは言っても、稼いで来るのは夫なので「何だか気が引ける」と思われるかもしれませんね。でもこの方法、今まで"別料金"として何となく使っていた部分に目を向けてもらうことで、実は夫にとっても、
「やりくりの工夫次第で却ってゆとりを生み出す余地がある」
という、メリットもあるのです。それに、夫が仕事に専念できるのは、妻が仕事をやめて家事に専念しているから。前向きな気持ちで、上手に夫を導くことも大事です。

ちなみに、上はあくまで仮の金額です。同時に妻のこづかいも見直すなど、実態に合わせて額や範囲を調節してくださいね。また、この方法は、将来はお子さんのおこづかいに対しても使っていただけます。
(3)貯蓄・資産の活用について
「5年後までに独立資金を1,000万円用意する」
というのが目標だそうですが、これはきっと思っていらっしゃるよりずっと簡単なことだと思います。冒頭で書いた"もの凄いパワー"に秘密が・・・。それは、お手持ちのストックオプションです。
ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格(=行使価格)で、将来の一定の時期に、勤め先の会社から自社株式を買うことができる権利のことです。会社の業績が上がって株価が上がれば、直接的に役員・従業員の利益につながるため、現金の代わりにボーナスとして利用されるケースも多いようです。
あとは一般論より具体的な数字を見た方がわかり易いと思います。

お持ちのストックオプションの内容は
  ・ 行使価格12,500円×234株
  ・ 行使価格17,500円×226株
  ・ 行使価格50,000円×114株
だそうですね。要するに、合計で574株を1,258万円で購入することができる権利をお持ちだということです。これに対して、現在の株価は約15万円だそうですから、547株だと現時点では8,610万円ということになります。ということで、このストックオプションには、現在差引7,352万円の価値があると言えます。
ただし、ご存知の通り株価は変動するもの。実際の利益は、売却するときの株価によって決まりますので、この価値は今後さらに大きくなることもありますし、もちろん小さくもなり得ます。
取得した株式は、すぐに売ることも、そのまま持っていることも可能ですが、基本的にはそのまま持っておきたいのだそうですね。きっとこの先も順調に会社が成長する見込みなのでしょう。

ここで問題になるのが、この権利を行使するための資金です。いくら利益が約束されていると言っても、購入資金がないことには"絵に描いた餅"でしかありませんね。
では、どうしたらいいのでしょうか。証券会社には、匿名希望さんのような方のために、ストックオプション行使資金の低利融資制度を用意しているところがあります。これを利用して、(株価が権利行使価格を下回らない限り)全ての権利を行使しましょう。
では、借りたお金の返済は? 株式の一部を売却してこれに充てることができますね。

ストックオプションの権利行使および売却について考える場合に、忘れてはならないのが税金の問題ですが、お持ちのストックオプションは、契約上『税制適格要件』を満たしているそうですので、株式を売却するときに売却益(時価−取得価格)の20%(2007年12月までに売却した場合は10%)を納税すればよいということになります。
ただし、同じ年に1,200万円を超えて権利を行使するなど『税制適格要件』から外れた場合には、行使価格と時価との差額がその年の給与所得扱いとなり、所得税・住民税(合算で最高税率50%)の課税対象となりますので注意が必要です。

独立資金や住宅資金についてですが、必要な時期に株式を売却して順次用意されたらいいと思いますが、いかがでしょうか。きっと今まで、この分を除外して
「もらった給与の中から1,000万円貯めなくちゃ」
と頑張っていらしたのではないかと思いますが、このストックオプションは、言わば
「今までに受け取ったボーナスを使わないで貯めてきた」のと同じようなものです。今はまだ形になっていませんが、しっかりと『貯蓄残高』の欄に計上して、必要なときに有効活用することを考えるのも前向きな生活設計法だと思います。
(4)生命保険について
「私がいつ妊娠しても大丈夫なように」とおっしゃるのは、医療保障のことでしょうか。妊娠・出産は病気ではないので、基本的に生命保険の給付対象にはなりません。もちろん、何らかの異常があった場合には対象となってきますが、そういう場合には健康保険もあることですし、蓄えもあるのですから、必ずしも保険がなくても問題はないでしょう。
本当に保険が必要なのは、もしもの場合に必要な資金を調達する手段を他に持っていない人。費用対効果(保障内容に対する保険料負担)を考えると、入るべきではないと言っても過言ではないと思います。
同様に、夫の死亡保障も、住宅ローンに付帯されている団体信用生命保険や公的遺族年金に加えて十分な額の金融資産があることから、何がなんでもこれ以上増やす必要はないでしょう。
♪ 最後に ♪
総合すると、匿名希望さんに必要なのは「ないものを見て不安を募らせること」ではなく「持っているものを最大限に活かす手段を考えること」だと思います。せっかく素晴らしい財産をお持ちなのですから、それらを存分に活用して豊かに過ごしていただきたいと思います。

コメント作成:ファイナンシャルプランナー 佐藤名ゝ美
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